2022年10月15日
[ドラマ]

Amazonプライム オリジナルドラマ
副題は「〜悪のウイルス〜」
奇妙で不安定な音楽とともに、タイトルバックから「おぞ」っとさせる.
おぞましくて陰惨な映画かというと、そうでもない.
少々間の抜けた登場人物と暴力的なシーンが混在している.
シーズン1の8話まで観た.
話は突然終わっていて、シーズン2は制作中止になったらしい.
コミックおたく垂涎の的「UTOPIA」の原画が、漫画同人誌の即売会オークションに出たところから話がはじまる.
ネットで知り合い、即売会で初めて顔を合わせた4人の若い男女イアン、ベッキー、サマンサ、ウィルソンも、この原画を手に入れようとする.
と、この原画を見た人間たちが、次々に殺される.
無表情な殺し屋アービー(クリストファー・デナム)が不気味だ.
殺し屋が問うのは「ユートピアはどこにある」「ジェシカ・ハイドはどこにいる」
第一話から殺人の嵐、テンポが早くて先が読めない.
話の展開はかなり荒っぽいのだが、観客をひきつける力はなかなかのもの.
やがて、ジェシカと名乗る少女(サーシャ・レーン)が4人の前に現れる.
ジェシカ・ハイドは「UTOPIA」に登場する人物である.
この原画に秘密が隠されている.
アメリカンコミック流の緻密な絵の中に、散りばめられた意味不明のアイコン、凶悪なウサギ・Mr.ラビットと少女・ジェシカ.
ジェシカは4人に「UTOPIA」さがしを手伝わせるのだが、早々にサマンサを射殺.
この、一度も笑わない凶暴なヒロイン、ジェシカの印象が強烈で、殺し屋アービーと双璧の主人公である.
即売会にやってきた5人目のネット仲間グラントは、少年だった.
この少年、無口だが敏捷で目端が効く.
グラントは、金持ちマニアが買い取った「UTOPIA」を盗み出す.
ジェシカとコミックおたくたち、これに母親をアービーに殺された小学生?アリスが加わって、6人の凹凸コンビが、「UTOPIA」の謎に挑む.
秘密の核心はウイルス.
おりからTVニュースでは、アメリカ国内に悪性のウイルスが流行っていることを告げる.
あ、もうひとりいた.
最初のウイルスの発見者スターンズ博士は、いかにもさえないキマジメ男で、製薬会社の社長にいいように利用されていたのだが、ジェシカの仲間になる.
こういう、騙されてばかりいる単純な人物が、どっこい実は物語を進展させていくというのは、ドラマを面白くする秘訣である.
殺し屋の黒幕は、製薬会社の社長クリスティー博士(ジョン・キューザック)
この男、多くの孤児たちを育てる「ホーム」も運営していて、口ぶりはいかにも心優しい.
『世界の諸悪の根源は人間が多過ぎることだ』
世界に悪性のウイルスを拡めて恐怖心をあおり、同時にワクチンを製造し、そのワクチンには、人間を不妊にするというウイルスが入っている.
これがクリスティーの人類撲滅計画である.
『混雑した世界で居場所を得るために君は何をしたか』
この男、ホームの子どもたちを「洗脳」している.
アービーもジェシカも、ここで育てられたのだ.
「UTOPIA」の原画を描いたのは、クリスティーのもとでウイルスを開発したジェシカの父だった.
原画の中で黒幕と暗示されるMr.ラビットは、アメリカで開発したウイルス兵器を中国内に広めて、中国政府から「兎」の入墨をされた、という.
クリスティーの背中には「兎」の入墨があった.
ジェシカたちは気づく、この男が Mr.ラビットだ!
クリスティーの計画を聞いたウィルソンが「これは陰謀論そのものだ!」と叫ぶ.
ベッキーたちは製薬会社の工場に侵入し、出荷前のワクチンを破壊する.
このドラマが、未完のまま中止になった理由はよくわかる.
2019年からはじまった世界のウイルス騒ぎの渦中で、このドラマはあまりにリアル過ぎるのだ.
だが、現実は「陰謀論」のはるか先をいっている、と私は思う.
現実社会の「mRNAワクチン」は、ウイルスの遺伝子から、脚(スパイク)を作る遺伝子だけをコピーしてカプセル化したものである.
これを大量に体内に注入すると、人間の細胞はせっせとスパイクを作る.
結果的に、このスパイクをウイルスと勘違いした人体が、抗体を作る.
実に巧妙なやり方だ.
この方法が有効なら、あらゆる病原ウイルスに対するワクチンが、短期間で製造可能、ということになる.
夢のような話である.
しかし、抗生物質に対抗する病原菌が現れるように、自然はそう甘くはないだろう.
ウイルスとワクチンは、今や技術的に「等価」である.
ワクチンを造れるということは、新たなウイルスも造れることを意味している.
その目的に関わらず、全世界の国家、企業、テロ組織が、このことを見逃しているはずはない.
ドラマで考えられることは、現実世界ではとうに起こっている、と思った方がいい.
全人類を滅亡させるような強毒ウイルス、というのはあり得ない.
感染者が死んでしまえば、ウイルスは増植も拡散もできない.
ウイルスが広まれば広まるほど、自然界ではウイルスに耐性のある人間が必ず現れる.
数億年のあいだ、そうやって生物とウイルスは共存してきた.
しかし、全人類を滅亡させるワクチン、というのはあり得る.
クリスティーがたくらんだように、人間が人為的に作ったワクチンを人為的に接種するなら、生物とウイルスの間にあったような自然淘汰が成立しないからである.
国家にとって、ワクチンとウイルスは高度な「戦略兵器」であり、両者は「盾と矛」である.
戦略上、それら「兵器」が実際に作れるかどうか、効果があるかどうかは、実は問題ではない.
ましてや、副作用があるかどうかなど、知ったことではない.
何しろ「戦争」なのだ.
ウイルスとワクチンを製造し、かつ広める体制を持っていると、世界に誇示することが、抑止力を生み出す.
流行のウイルスが、自然に発生したものであれ、どこかの国の研究所から事故、あるいは故意に漏れたものであれ、どちらでも同じこと.
現実社会の、ここ数年の騒ぎは、この「戦争」の前哨戦である.
「ユートピア」8話の最後に、死んだはずのジェシカの父が現れる.
一方、Mr.ラビットも、ひとりではないらしい.
謎は深まるばかりだが、
いつかこのドラマの続編が作られる前に、人類が滅亡しないことを祈ろう.