錆びたナイフ

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2017年2月19日
[映画]

「あん」 2015 河瀬直美


「あん」


東京郊外にあるどら焼きの店「どら春」
お客の女子中学生たちがパッタリ来なくなった.
春からここで働いている徳江(樹木希林)が、らいの患者だったことを知ったのだろう.
大人の客は少し減ったが、以前どおり買いに来る客もいた.
しばらくして、中学生のワカナ(内田伽羅)が一人だけ店に来て、いつものようにどら焼きを食べた.
それから、ワカナは以前と同じように店に来た.
ワカナも徳江も店長の千太郎(永瀬正敏)も、らいの話はしなかった.

「店長さん、あの、わたし店をやめようと思うの
と徳江が言う.
「前ほどお客が来ないし、店長さんも、あんの作り方を覚えたみたいだから
しばらく黙って
「わたしの体の中に、らい箘はないのだけど、ほら、こんな障害、気にするヒトがいるのよ
と曲がった手をさする.
初めてらいの事を言った.
「大丈夫、よくあることだから、どうもありがとう、働けて楽しかったわ


千太郎は、毎日どら焼きのあんを作る.
ある日、圭子(市原悦子)という女性から手紙を受け取る.
徳江と同じ住所だった.
徳江が体調を崩していると書いてあった.

千太郎とワカナは、初めて徳江の住むらい園へ行く.
圭子は、徳江が三日前に亡くなったと告げる.
「どら春を気にしていたわ、店長さん、ちゃんとあんを作っているかって


クレープとどら焼きの店に改装した「どら春」
今日もやって来た客が言う.
「この店、やっぱりクレープよりどら焼きよね
「毎度ありぃ
千太郎の笑顔でエンド.

以上は私の「妄想シナリオ」であります.
元の映画と少し違う.
この映画の作者は、らい病にも、どら焼きのあんこにも、登場する人物の誰にも、興味を持っていないと感じる.
樹木希林はとても魅力があるのにもったいない.
永瀬正敏は元気がなくてもったいない.
それで、妄想の挙句、ほんとうにこんなストーリーだったような・・気がしてきた.
ありありとそれらのシーンが目に浮かんで来る.


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