錆びたナイフ

back index next

2014年6月24日
[講義]

「生権力と死の思想」 金森修

「生権力と死の思想」


iPhoneやiPadで大学の講義が聴ける.
iTunesUというアプリでテーマを選ぶ.
なぜかiPhoneとiPadではメニューが違うのだが、
世界中の大学や研究機関が公開している講義は、あらゆるテーマにおよんでいる.
仕組みはPodcastと同じで、画質は荒いが、電車の中でもベッドの上でも視聴できる.

学術俯瞰講義2009 「死すべきものとしての人間」シリーズの中では、この金森教授の講義が面白かった.
90分の講義を5回に分けて、フランスとイタリアの哲学者フーコー、ネグリ、アガンベンを取り上げている.
教授の語り口は疾風のようで、こういう知識の最先端にいる人らしい熱気にあふれている.

「生権力」とか「ホモ サケル」の話をしている.
かつて「逆らえば殺すぞ」と人民を脅した権力は今、人間ドックの生活習慣病アンケートに名を変えて大衆を恫喝する.
権力:「運動をしていますか?、お酒は飲みますか?、寝る前に何か食べていませんか?、自分を幸福だと思いますか?・・」
庶民:「うるさい、いったい何が望みだ?」
権力:「貴方に生きて欲しいのです」
庶民:「大きなお世話だ!」
権力:「寝たきりであろうが、痴呆で徘徊しようが、いいんです」
庶民:「何がいいんだ?」
権力:「彼らは、ホモ サケルです」
庶民:「なんだそれは」
権力:「誰も、どうしていいか分からない人のことです」
庶民:「それのどこがいいんだ?」
権力:「生きている限り、消費するからです」

権力は、人々の間に蔓延し、こう言う.
「あなたを、なかなか死ねないようにしてさしあげます」


home