錆びたナイフ

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2014年2月10日
[歌]

「Like a rolling stone」 ボブ・ディラン

「Like a rolling stone」


ボブ・ディランのこの曲は、60年代、社会や組織に反発する強いメッセージ性を持っていた.

How does it feel ?
How does it feel ?
To be on your own
With no direction home
A complete unknown
Like a rolling stone

どんな気分だい?
一人きりで
帰る家もなく
誰にも知られず
転がる小石のように

When you ain’t got nothing,
you’ve got nothing to lose
You're invisible now,
you’ve got no secrets to conceal

君は何も持っていないから、
失うものは何もない
君は透明だ
隠すべき秘密なんてない

腹立たしいほど自由だ.
私は、こうなることは「いいことだ」と思っていた.
しかし今頃になって、この歌詞が「落ちぶれてザマあみろ」という意味かもしれない、と気づいた.
ディランは、あのダミ声でスラングを歌うので、何を言っているのかよくわからない.
歌詞を読めば、昔羽振りの良かった者が、騙されて、財産を失った話である.
かつて、浮浪者に小銭を恵んだことや、一流の学校に通っていたことや、いい車に乗っていたことを、揶揄している.
そして今は明日の食べ物にも事欠く者に、どんな気分だい?と囃したてている.
それなら、そう歌うほうが卑しい.
しかし、ディランの声には、昔も今も、解放された心の叫びと力強さがある.
彼の歌詞は元々難解だが、
同じフレーズを繰り返し歌うと、意味が逆転しているように聞こえるのだ.
揶揄しているようで、実はそれでいいんだ、と言っているように感じる.
あるいは、はやしたてるほうが愚劣だと、言っているのか.
だから、どんな気分だい?と問われたら、
おう、いい気分だ、と答えてもおかしくない.


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