錆びたナイフ

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2013年2月10日
[映画]

「スター・ウォーズ/クローン・ウォーズ」 2008 デイヴ・フィローニ

「スター・ウォーズ/クローン・ウォーズ」


実写版StarWars全6作は1983年に完結したが、この作品はその中の話を追加している.
全編アニメーションだが、キャラクターの顔がいかにもアニメ的なのは意図的だろうか.
宇宙船や戦闘シーンは「実写版」と遜色がないので、つまり人物の表情までリアルになったらまずい、と原作者のJ.ルーカスが差別化したのだと思う.
1作目であれほど苦労したミニチュアとモーションコントロールカメラは、もう不要になった.

延々とドンパチ戦闘シーンばかり.
旧来のSW同様「悪」が用意周到な計画を立て「善」は行き当たりばったりで罠にはまる.
これといった戦略も戦術もない常時劣勢の共和国軍(1作目では反乱軍)が束の間勝利するのはなぜか.
要するに恐怖や支配慾で如何に奸計をめぐらそうが、人間(やその他生き物)のいい加減さや思い込みの強さで「悪」の計画が狂うのである.
これは多分、現実世界の逆を言っている.

SW 1作目(エピソードIV)は文句なしの「ルーク・スカイウォーカーの青春」映画だった.
映画的には2作目(帝国の逆襲 I.カーシュナー監督)が抜群によくできていた.
3作目以降の4作品はダースベーダー(アナキン)の物語だが、ルーカスから見れば「悪」とは何かを追求し結局分からずじまいになった話である.
その理由は、ルーカスがとことん善人だったからだろう.
思えばSWをディズニーに売り渡したのは正解だ.
ディズニーランドに悪人はいない(ことになっている).
ではこの「ドンパチ」はどこから聞こえてくるのか.
銀河皇帝がささやく、
「それは遺伝子の歓喜の声だ、DNAは破壊と再生を望んでいるのだ、ルーカス、THE CLONE WARSと名付けながら、まだその声が聴こえないのか」

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