錆びたナイフ

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2012年8月12日
[映画]

「ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還」 2003 P・ジャクソン

「ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還」


BSで放送していたので、また観てしまった.
当初、
Road Of The Ring「指輪の道」
かと思っていた.
いや、フロドの台詞にあるように、
The Load Of The Ring「指輪の重荷」
だったのか?そうじゃない.
原題は、
The Lord Of The Rings「指輪たちの主」

力をあらわす指輪は複数あり、
フロドが持って旅をするのはサウロンの指輪.
この指輪、指にはめれば姿が消える、だけではないらしい.
いとしいしと・・と、
魂を奪われたスメルゴアのように、身を滅ぼしてまで所有したいという欲望が感染する.
原作も映画もその雰囲気をよく表現しているが、指輪の魔力が、サウロン以外の者にとって何なのか、
よくわからない.
その指輪は、邪悪な者にしか使いこなせない.
あるいは、指輪は、それを持つ者を魅了し、心を邪悪なものに変える.
フロドだけが、辛うじて、(いや最後はゴーレムとの確執で、)偶然にも踏み止まった.
指輪は、人類には使いこなせない強大な力の暗喩に思える.
核兵器?
原子力?
IPS細胞?
情報テクノロジー?
モルドールの塔の上から世界を見張るあの目は、
グーグルのストリートビューだったのか!

その名を口にしてはならぬ.
指輪が動き出すと、世界に暗黒が広がる.
こうした漠然とした恐怖や不安の表現が、ずば抜けている.
この世界構築のすごさは、あまたのファンタージーやSFのはるか頭上を飛び抜けた.

3作で困難な旅と映画は終るが、こんな経験をした主人公は、その後まっとうに生きられまい.
最後のハッピーエンドは、フロドの夢ではないかと思う.
目覚めたら、何処にいるのか・・
あるいは、ほんとうは、スメルゴアの夢か・・

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