錆びたナイフ

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2012年8月9日
[本]

「突然炎のごとく」 アンリ.ピエール.ロシェ

「突然炎のごとく」


この作品数頁で一冊の小説が書けるほどの、
恋愛の洪水.

まるで自分の半身を求めるように、
人生の喜びに満ちて、
その先で癒されない飢えのように、
別離と再会を繰り返す.

誰が結婚しているかとか、
子供の教育はどうするとか、
戦争も国境も生活も、
まるで眼中にないように、
目の前にいる男あるいは女しか見えない.
ほんとうに相手を見ているのか.
トリュフォーの映画のジャンヌモローより、
原作のヒロイン カートはパワフルで大きい.
原題は「ジュールとジム」
暴風雨のようなカートの愛ではなく、
彼らが愛したたくさんの女達でもなく、
ほんとうは、この奇妙な三角/四角関係の中の、
男二人の話ではなかったか、
と、残されたジュールは思う.

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