錆びたナイフ

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2012年7月25日
[本]

「オン・ザ・ロード」 J.ケルアック

「オン・ザ・ロード」


戦争終結直後のアメリカに、
これほど自由で奔放な精神と、
それを生んだ世界があったのか!
社会や歴史の影などどこ吹く風.
あいつもこいつもきりきりと胸痛む間もなく、
噴出する過剰な生命力にどつかれて、
アメリカを疾走し、アメリカから逃走する.
奔流してビートに乗る言葉.
JAZZ演奏の描写力がすごい.
(最後のメキシコ行きは、
ついに世界が燃え尽きるかのようだ)

メフィストかルシファーの如き、
ディーン・モリアーティが、
この小説のホントの主人公で、
「いいね、いいね」を連発し、
狂気のまま社会に突き刺さる.
こうして、いったい、こいつらはどうなってしまうのか.
60年代にふつうのおっさんになったのだろうか.

アメリカには、
ヒッチハイクで大陸を横断することが何でもなかった時代が、
確かにあったのだ、
ついこのあいだまで・・・

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