錆びたナイフ

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2012年7月20日
[本]

ジョルジョ・アガンベン 「開かれ」

「開かれ」


副題は「人間と動物」

哲学書を読むのはミステリーと同じで、
ジェットコースターのように、
何処へ連れて行かれるのか分からないから面白い.
この本もあちこちに「穴ボコ」があって、
目も眩むような思いをする.
「開かれ」とは妙な言葉だ.
自ら精神を世界に開くというのでなく、
身体の作りがそうなっているというのでもなく、
生物のあり様として「開かれ」ていると言いたいらしい.
しかも人間と動物は世界の事物との「開かれ」方が違う.
「動物は、その動物の抑制を解除するものの環のうちに閉ざされている・・」
「特定の抑止解除圏との関係を宙づりにし不活性なものにすることが、動物にはできない・・」
木やコップに、とある「意味」を見出すのは人間だけ、ということか?

ウチの猫は、扇風機を見ると近づいて、ピピッとマーキング(おしっこ)する.
カミさんは怒って猫を洗面所に閉じ込める.
猫は自分を「抑止解除」する扇風機に、
家具や電気製品という意味があることが、
どうしても分からないのだ.

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