錆びたナイフ

back index next

2012年7月16日
[本]

錆びたピストル

「一握の砂」


周知の事実かもしれないが、
石川啄木の歌集「一握の砂」の中に、
こんな詩をみつけた.

いたく錆びしピストル出でぬ
砂山の
砂を指もて掘りてありしに

石原裕次郎が歌う「錆びたナイフ」は、
啄木の詩からイメージしたのかもしれない.

砂山の砂を 指で掘ってたら
まっかに錆びたジャックナイフが 出て来たよ
どこのどいつが 埋めたか
胸にじんとくる 小島の秋だ
(作詞:萩原四朗)

浜辺で海を見ている男
しゃがみ込んで砂地に手をおく
?と指先を見る
砂地を掘り返す指
砂の底から引き出されたもの
錆びたナイフ
それをじっと見つめる男
やがて顔を上げてはるかな海を見る
「小島の春だ」という俯瞰ショット
ここから映画が始まる? 終る?

この詩の背後に、
「どこのどいつ」という第三者がいて、
それが、ドラマを生んでいる.

home