2003.Apr.07 「BROADWAY LIMITEDのサウンドSLを動かす」
で紹介したメーカー BLI が、On30のSLを発売しました。
もちろんサウンドシステムが内蔵されています。
このロコの設定に必要な「オペレーションモード」についても説明します。
Oスケール(1/48)のナローゲージなので、HOゲージの線路(16.5mm)が使えます。
ここで紹介するのは、リオグランデのC-16(2-8-0)をモデルにした機関車です。
全長32cm、ダイキャストとプラスチック製で少々重いです。
東京の模型屋「さかつう」に予約注文して、¥38,800程で入手しました。
作りは比較的あっさりしていますが、雰囲気はなかなかいいです。
テンダー内のQuantumサウンドシステムは、HO用と同じもののようです。
スピーカは2つあります。
●音量ボリューム
後尾の音量ボリュームが最大になっているので、これを半分位に絞りました。
家庭内ではこれで十分です。
このボリュームは、テンダーの給水口を外せば外から操作できます。
●リセットピン
ボリュームの前に、リセットピンプラグがあります。
これを外して線路電源を入れると、ホイッスルが3回鳴ります。
その後ピンをさして再度電源を入れると、デコーダが初期値にリセットされます。
私の場合、デコーダの設定をしているうちに、音は出るもののロコが全く動かなくなることがありました。
このリセットピンの抜き差しで復旧しました。(アドレスも初期値の3に戻るので注意)
DCCのロコを購入したら、少なくともアドレスだけは変更する必要があります。
付属のマニュアル(Operator's Manual)には、
サービスモードかオペレーション(Ops)モードで変更するように書いてあります。
さらに、プログラム線路は電流が小さいので、これで設定できない時はOpsモードを使うように、と書いてあります。
サービスモードというのは、要するにプログラム線路上にロコを乗せて設定する方法のことです。
プログラム線路は、デコーダの損傷を防ぐために、フィーダで給電する走行線路に比べて電流が弱くなっています。
また線路上の全てのロコに、同時に設定情報が流れます。
これに対してOpsモードは、走行線路上で、アドレスを指定して、特定のロコの設定を変更します。
Digitraxのスロットルで「Program」ボタンを押すと、フィジカルモード、ダイレクトモード、ページモード、オペレーションモードに切り替わります。
前三者がサービスモードということになります。
基本的な操作手順は四者とも同じです。
●フィジカルモード
CV01(2桁アドレス),02(スタート電圧),03(加速率),04(減速率),29の読み書きと、CV07(バージョン番号),08(製造ID)の読出しができます。
その他のCV値の設定ができないので、普通このモードは使わないでしょう。
●ダイレクトモード
Digitraxの参考書「Big Book of DCC」には、ページモードとは考え方が違うが、操作方法は同じ、と書いてあります。(それ以上の説明はない)
●ページモード
Digitraxの標準的な設定モードです。
●オペレーションモード
通常の本線線路にロコを置いて、Loco(SEL)ボタンでアドレスを選び、線路電源をONにします。
スロットルに「Po」が表示されるまで、PROGボタンを押します。
この後CV値を選んでデータを入力します。
このモードではデータの読出し表示ができないのですが、このロコは、CV値を入力すると、スピーカから声が出て、データを読み上げてくれます。
●DCS50Kでのオペレーションモード設定方法
KATOの普及型コマンドステーションDCS50Kでの、オペレーションモード設定方法は、同セットの説明書には書いてありません。
まず、「OPS」と表示されるまで、PROGボタンを押します。
「OPS」の状態で、CVボタンを押すと、「o001」のように表示が出ます。
ここでCVの番号を入力します。
この後、再度CVボタンを押すと、「d003」のような表示になり、ここでCVのデータを入力します。
最後に「書き込み」ボタンを押します。
これでOKです。
要するに、CVボタンを押す度に、CV番号の入力(o)とデータの入力(d)が切り替わるということです。(これは他のモードでも同じです。)
連続してCV値の変更をするとエラーが出る場合があるので、1回書き込み毎にEXITするほうがいいようです。
手持のコマンドステーション2式(DCS100とDCS50K)で、モード別に、このロコのデコーダ設定ができるかどうか試してみました。
ページ | フィジカル | ダイレクト | オペレーション | 備考 | |
DCS100 スロットル表示 | P6 | PH | Pd | Po | DT400スロットル使用 |
DCS100 読出/書込 | ◯ | × | × | 書込のみ◯ | |
DCS50K PROG切替表示 | PAGE | PHYS | dir | OPS | |
DCS50K CV番号の記号 | p | r | 注) | o | 注) Eの上横棒がない記号 |
DCS50K 読出/書込 | ◯ | ◯ | ◯ | 書込のみ◯ |
全てのデータについてテストした訳ではありません。
このロコは、オペレーションモードでの設定をお勧めします。
●2桁アドレスの設定
例えば、車番278の下2桁「78」を設定する場合、下表のCV値を順番に入力します。
順番 | CV番号 | 設定値(10進) | 備考 |
1 | 49 | 129 | |
2 | 50 | 1 | |
3 | 56 | 78 | =2桁のアドレス値 |
これを設定した後は、当然Opsモードのアドレス(Loco/SEL)も変更します。
●4桁アドレスの設定
例えば、車番278の「278」を設定する場合、下表のCV値を順番に入力します。
順番 | CV番号 | 設定値(10進) | 備考 |
1 | 49 | 129 | |
2 | 50 | 17 | |
3 | 56 | 193 | =278を256で割った商+192 |
4 | 50 | 18 | |
5 | 56 | 22 | =278を256で割った余り |
6 | 29 | 34 |
3番目ではOpsの声は出ません。5番目で「278」という声が出ます。
●その他の設定変更
CV番号 | 初期値 (10進) | 変更値 (10進) | 変更内容 |
CV2 | 32 | 40 | 開始電圧上げ |
CV5 | 0 | 120 | 最大電圧下げ |
CV52.10 | 11 | 09 | 排気音量下げ |
CV52.16 | 11 | 09 | ポンプ1音量下げ |
CV52.17 | 11 | 09 | ポンプ2音量下げ |
CV52.26 | 08 | 10 | 発電機音量上げ |
プライマリーインデックスとして、CV49に16を書き込み、引き続いて、CV52に9を書き込むような設定方法を、
「CV52.16=9」のように表記します。
音量は1ステップで2db変化するとマニュアルに書いてありますが、あまり下げると一部の音が全く出なくなるようです。
テンダー内の手動ボリュームも同じ傾向です。
●データの読み上げ
CV64に読出したいCV番号を入力すると、データを読み上げてくれます。
(声サンプル)
CV52.16の内容を読出したい時は、CV49に16を書き込み、次にCV64に52を書き込みます。
●アナログでの操作
以前のBLIの製品と同じく、アナログの直流パワーパックでも動きます。
さらに、スタート電圧等の初期値の設定も、アナログでできるようになりました。
一体どうやっているのかと言うと、音声の案内に従って、逆転スイッチのON/OFFで設定します。
こうなると、パワーパックの逆転スイッチの操作ではムリで、BLIから、パワーパックにつなぐ専用のON/OFFスイッチが発売されています。
確かにアナログでも操作はできるのですが、DCCのほうがはるかに簡単で確実です。
実物もそうですが、一部の動輪がフランジレスになっています。
このためカーブの通過は楽になるのですが、ポイント通過で問題が出ることがあります。
フランジレス車輪が、
KATOのHOユニトラック490ポイントで、閉じているレールに割り込んで乗り上げ、脱線する。
篠原のHOカーブポイントで、非選択側のトングレールに接触して線路がショートする。
等のトラブルです。
前者は、ポイントの前後を直線にすることで軽減できます。
後者は解決方法がなく、ポイントの左右トングレールが、電気的に分離している製品を使うしかありません。
●感想
上記の動画で見られるように、ライトをつけると発電機の音が出ます。
ボタンをチョンと押すと、「ボッ!」という短い汽笛が出ます。
他に「キキー」というブレーキ音/カーブ通過音も出せます。
しかし、マニュアルに書かれているその他の音種には、どうもよく聞こえない/判別できないものがあります。
高速時のエキゾースト音(排気音)は騒がしいだけで、好きになれません。
全体にSOUNDTRAXXより音種は多彩なのですが、今後更に音の「質」を洗練してほしいと思います。
このロコの値段は、大変リーズナブルです。
サイズが大きいこともあって、サウンドを楽しむには格好な製品と言えます。
2004.Feb.28 -I-