HOゲージ BROADWAY LIMITEDの NYC J1e Hudson 4-6-4 です。
サウンドシステムとして実に面白い機能を持っています。
「RM MODELS」2003年2月号のNEW MODELSや、同年1月号の「他事多事絵日記」で紹介されたロコ(機関車)です。
通常のパワーパックでも音が出せる、という評判ですが、これはしっかりDCCサウンドシステムで、アナログでも使えるように工夫してあるのです。
私の購入先は東京の「さかつう」で、¥44,800でした。
上の写真はウェザリングする前です。
テンダーを開けると、Quantumというサウンドシステムが入っています。
スピーカは2個ついています。
音量ボリュームや、デコーダのリセット用ピンが付いているのが、とても便利です。
DCCで構成したデジタルサウンドに、アナログの電圧と極性に応じた制御を付加したシステム、ということができます。
購入時のままで、アナログ/DCCのどちらでも動き、音が出ますが、全ての音をコントロールするにはDCCが必要です。
ところで、従来のパワーパックを使ってアナログ運転する場合、SLの排気音は電圧に比例させるとしても、汽笛やベル音を出す時はどうするのでしょう。
パワーパックには方向切替のスイッチしかありません。
それを使うのです。
パワーパックの電圧を上げていくと、4V位で音が出ますが、まだ動きません。
この時の音は、蒸気音とかコンプレッサー音で、かなりにぎやかです。
10V位で動き出します。
走行中に、方向切替スイッチを逆転させると、進行方向は変わらずに、汽笛が鳴ります。
走行中の急逆転はありえない、と考えているのです。
スイッチを瞬時に逆転正転させると、ベル音のON/OFFができます。
電圧を0Vにすると、音も止まってしまいますが、このロコは停車中も色々な音が出ているので、音を止めないで逆進行させる場合は次のようにします。
電圧を10V以下に下げて停車させ、停車後に出るエア音からポンプ音が出るまでの3秒間に、スイッチを逆転させます。
タイミングが合わないと汽笛が鳴ってしまいます。
これらの工夫は大変面白いのですが、前進/停止/後進スイッチのKATOのパワーパックで、ベル音を鳴らすにはかなりコツが必要です。
パワーパックの出力に、例えばプッシュボタン式の逆転スイッチのようなものを付けた方がいいと思います。
次の表は、DCCのファンクションキーの制御項目です。
中にはキーを押さなくても自動的に出る音もあります。
なんだかよくわからない、というのもあります。
ファンクションキー | 走行中 | 停車中 |
F0 | ライトON/OFF | ライトON/OFF |
F1 | ベルON/OFF | ベルON/OFF |
F2 | 汽笛 | 汽笛 |
F3 | ブレーキとフランジ音 | ボイラー注水音 |
F4 | ブロアー音ON/OFF | ブロアー音ON/OFF |
F5 | エア音(短) | ポップオフ |
F6 | 汽笛のドップラー効果 | ボイラーブロウダウン |
F7 | エア音(短) | エア音(短) |
F8 | 消音ON/OFF | 消音ON/OFF |
マニュアルは、
http://www.broadway-limited.com/qmanual/
にあります。
Quantumのデコーダの設定には注意が必要です。
Digitraxが推奨する、ページモードでは、設定ができません。
ダイレクトモードか、オペレーション(OPS)モードを使います。
●ダイレクトモード
プログラム線路にロコを置いて、スロットルに「Pd」が表示されるまで、PROGボタンを押します。
操作はページモードと同じと思われます。
(Digitraxのマニュアルに詳細が書いてない)
●オペレーションモード
通常の本線線路にロコを置いて、Loco(SEL)ボタンで初期アドレス(3)を選び、線路電源をONにします。(背景音が出ます)
スロットルに「Po」が表示されるまで、PROGボタンを押します。
このモードではデータの読出しができないのですが、CV値を入力すると、何と! ロコのスピーカから声が出て、データを読み上げてくれます。
CV番号 | 初期値 (16進) | 変更値 (16進) | 変更内容 | |
CV17 | 192(xC0) | 212(xD4) | 4桁アドレス(5324の)上位データ | |
CV18 | 0 (x00) | 204(xCC) | 4桁アドレス(5324の)下位データ | |
CV25 | 02 (x02) | 68 (x44) | 68 Speed Table Selection | |
CV29 | 02 (x02) | 34 (x22) | 4桁アドレス指定 | |
CV52.16 | 08 (x08) | 04 (x04) | ポンプ1音下げ | |
CV52.17 | 08 (x08) | 00 (x00) | ポンプ2音停止 | |
CV52.19 | 08 (x08) | 04 (x04) | ブロアー音下げ | |
CV52.21 | 08 (x08) | 04 (x04) | エア音(長)下げ | |
CV52.22 | 08 (x08) | 04 (x04) | エア音(短)下げ | |
CV52.29 | 08 (x08) | 04 (x04) | ボイラー音下げ | |
CV52.30 | 08 (x08) | 04 (x04) | ブロウダウン音下げ | |
CV52.31 | 08 (x08) | 04 (x04) | 注入音下げ |
●4桁アドレスの設定方法
CV29で4桁アドレスを指定して、目的の番号(ここでは車両番号5324)を、CV17とCV18に入力します。
この際、CV17の値は16進での上位2桁に、6,7ビットをONにします。
具体的には、5324を256で割った商(20)に192を足したもの(=212)を入力します。
CV18には、5324を256で割った余り(=204)を入力します。
●音量を下げる
どうも自動的に出る背景音がうるさいので、エキゾースト音、汽笛、ベル、ブレーキ以外の音量を半分に下げました。
上表の「CV52.16」というのは、まず、CV49に音の種類「16」を入力して、その後CV52に音量「04」を入力します。
オペレーションモードで入力すると、「ファイブ ツウ ポイント ワン シックス イコール フォー」のように声が出ます。
●その他
走り出しをゆっくりスムーズにするために、CV25でスピードテーブルを変更。
CV29の初期値は2になっていますが、本来アナログ共用とするためには(Bit2がONで)、6になるはずです。
試してみると、なぜか2でも6でも動きました。
プラスチック製のボディーはつや消しになっていますが、いまひとつ実感が足りません。
テンダーのプラ整形石炭の上に、瞬間接着剤で石炭を積みました。
それから、ウェザリングしてみました。
私のやり方は簡単で、サビの出そうな所にエナメルのハルレッド色、ホコリの付きそうな所に、フラットアース色を薄めて、凹凸に流しこむようにサッサと筆塗りします。
最後に、ウェザリングブラック粉(鉛筆の芯の粉でもいい)を綿棒ですりこみます。
これでかなり印象が変わりました。
2003.Apr.07 B