DCCにあれこれ悩んだ末の、独断的Q&Aです。
Q1
DigitraxとLenzのどちらがいいですか?
私はLenzを使ったことがないのですが、2000年のJAMフェスティバルでKATOがDigitraxのデモをするまで、国内のDCCシステムはLenzが先行していました。
KATOは今Digitraxにかなり力を入れているようですし、一方Lenzのクマタ貿易のスタッフはみなさん親切ですから、どちらも初心者には頼りになると思います。
Q2
Digitraxの基本セットはどれがいいですか?
ジェネシスII(¥29,800)とチーフII(¥52,800)があります。
構成内容は同じですが、コマンドステーションとスロットルの能力が異なり、
チーフはジェネシスに比べて、4桁アドレスが扱える、デコーダの設定値の読み出しができる、2列車同時制御ができる、等のメリットがあります。
私はチーフIIをお勧めします。
Q3
Digitraxのスロットルの使い方がよく分からないのですが。
チーフIIに付いているDT300スロットル(リモコンBOX)は、多すぎる機能操作が整理されていないように思えます。
デコーダのセッティングに使うプログラムモードの他に、
通常走行のLocoモード、ポイント操作のスイッチモード、ライトやサウンド操作のファンクションコントロール等(まだある)があり、
これらのモード毎にツマミやボタンの機能が異なるので、まごつくのです。
(F0とファンクションスイッチが兼用というのがそもそも不便で、
F1からF8のスイッチが順番に並んでいないのもヘンです。)
操作のコツは、ディスプレイ下段のモード表示に注意すること、何かファンクション等の操作をした後は、ツマミをチョンと押して常にLocoモードに戻してやることです。
Q4
機関車から音を出すのにどれくらい費用がかかりますか?
スピーカが500〜1,000円位、サウンドデコーダがモータ制御付で22,000円、これが主なものです。
デコーダがサウンドのみの場合は16,000円、この場合モータ/ライト制御用のデコーダが別に必要です。
音源はデコーダ側にあるので、あとはDCCのスロットルで指示を出せば音が出ます。
車両への組込みは、スピーカの制限があるので、HOゲージ以上が目安です。
Nゲージに入れるのは難しいでしょう。
鉄道模型のサウンドシステムは何種類かありますが、DCCと連動して、ロコ自身から音を出すシステム、かつ国内で入手可能なものは、私はSOUNDTRAXXしか知りません。
これはクマタ貿易で入手できます。
SOUNDTRAXXはアメリカの機関車音が中心です。
機種毎に音が違いますが、日本型で使う場合は似た音を探すしかありません。
音のサンプルは、
ここで聞けます。
今はプラ製のロコが1万〜数万円で買えますので、サウンドシステムはかなり高価に思えます。
今までの鉄道模型は、どんなに精密でも、要するに「動く」「立体の絵」なのですが、
DCC化とサウンド化で、鉄道模型は、それ以上のものになりますから、やってみる価値はあります。
Q5
DCCで動いたのですが、ライトがつきません。
そのロコがアナログでも動くなら、まずパワーパックで動かしてライトがつくかどうか調べます。
ライトに問題がないなら、デコーダの設定があやしいです。
スピードステップが異なるとライトがつかないことがあります。
Digitraxは128ステップが標準なので、下記の例を参考に、デコーダ側もこれに合わせてください。
CV29の設定
デコーダの設定では、アドレスと特に29番の設定変数(CV)が重要です。
ビット番号 | スイッチ番号 | OFF時の機能 | ON時の機能 | (通常) | 計算 | 値(10進) | 値(16進) |
0 | 1 | (前進) | 後進 | OFF | ×1 | 0 | x0 |
1 | 2 | 14スピードステップ | (28/128スピードステップ) | ON | ×2 | 2 | x2 |
2 | 3 | アナログ変換OFF | (アナログ変換ON) | ON | ×4 | 4 | x4 |
3 | | | | | ×8 | | |
4 | 4 | (スピードテーブルOFF) | スピードテーブルON | OFF | ×16 | 0 | x0 |
5 | 5 | 2桁アドレス | (4桁アドレス) | ON | ×32 | 32 | x20 |
6 | | | | | ×64 | | |
7 | | | | | ×128 | | |
| | | | | 合計 | 38 | x26 |
デジタル制御では、1と0の組合せをONとOFFとして、スイッチを1つ構成します。
1個ずつではめんどうなので、普通は8個のスイッチをまとめて管理します。
CV29は、上表のように、0,1,2,4,5番のビットを使って5個のスイッチを構成しています。(3,6,7番は使わない)
特定の1個のスイッチを変更する場合も、全体(5個分)をまとめて再設定します。
計算の方法は、ONを1、OFFを0として、表の「計算」の数値を掛けて合計を求めます。
表の通常構成では、38 になります。
もし、この状態から4桁->2桁アドレスに変更するなら、ビット番号5がOFFになりますので、合計は 6 になります。
DigitraxデコーダのCV29の初期値は 6 です。
Q6
16進って何ですか?
16進数というのは、16で桁上がりする数のことです。
Digitraxのスロットルでは、右のツマミを押すと、10進と16進の表示を切替えることができます。
両者を区別するために、16進は数字の前にx(Hexadecimal)が付いて、
x00,x01,x02,x03,x04,x05,x06,x07,x08,x09,x0A,x0B,x0C,x0D,x0E,x0F,x10 .... xFF
のように表示します。
09以下は10進と16進は同じ値ですが、10とx10とは異なりますので注意が必要です。
ちなみに、「デジトラックス デコーダマニュアル応用編」40頁のCV29に関する記述に、
『※上記の二つの表に示される値は16進数表示の値です。』とありますが、これは不正確で、
本来は、三つの表の「OFF時の値」と「ON時の値」と「合計して」の値に x を付けるべきです。
デジタルは0と1でできているので、4ビット(2の4乗)で区切る16進というのが便利なのです。
人間の指が4本なら、もっとコンピュータに強くなれたかもしれません。
Q7
デコーダのピンプラグを車体にセットする方向がわかりません。
デコーダを車体の8ピンソケットにさす場合、ソケットの基板に「8」とか数字が書いてあれば、そのピンの位置が8番(赤)と分かりますが、何も印がないと、180°どちら向きかわかりません。
実際は、反対向きにさしても実害はありませんし、デコーダのセッティングもできます。
ただしこの場合、ライトは点灯せず、モーターの回転方向が逆になります。
とりあえず付けてみて、アドレス等を設定した後に、実際の進行方向がスロットルの指定と逆だったり、ライトがつかない場合は、反対向きにさし直せばいい、ということになります。
Q8
デコーダのアドレスを設定しようとすると、スロットルに「NoPg」という表示が出ます。
デコーダのモーター出力が断線していませんか。
あるいはモーターの回転ブラシ部分が汚れていませんか。
1番(オレンジ)と5番(グレー)ピンの間に、モーターがつながっていなかったり、この間の抵抗値が高いと、「NoPg」という表示が出て、アドレスの設定/読出しができません。
Q9
2桁アドレスと4桁アドレスの、どちらを使うのがいいですか。
アドレスは、車体番号と同じにするのが一番覚えやすいので、4桁にすればまず重複することはないでしょう。
しかし、4桁アドレスの設定は、2桁に比べて面倒なケースがあります。
Digitraxのデコーダは4桁をそのまま入力設定できますが、BROADWAY LIMITEDの場合は、計算式を使ってCV17と18の値を割り出し、手順通りに入力する必要があります。
UT1のように2桁しか設定できないスロットルもあります。
2桁アドレスでも、例えば車体番号の下2桁と決めれば、実用上は問題ないので、最初は2桁で始めるのがいいと思います。
ちなみに2桁アドレスと4桁アドレスは、データの格納場所(CV番号)が異るので、同時に各々の設定ができます。
どちらで動くかは、CV29の6ビット目(x20)のON/OFFで決まります。
CV29の値が32(x20)より小さければ、2桁アドレスで動作します。
そのCV29の値に32を足した値を再入力すれば、4桁アドレスで動きます。
そこで、デコーダには、車体番号の下4桁と下2桁両者を登録しておいて、普段は2桁で運転します。
2桁番号が重複してしまったロコを同時に運転する時だけ、一方を4桁に切り替えればいいでしょう。
ちなみに、車体番号3番のロコは、4桁の0003にしておけば、デコーダの初期値(2桁の03)と重なりません。
2004/Feb/28