スプリングポイントを使うと、列車の交換運転が簡単にできます。
そのための模型のポイント(分岐器/TURNOUTS)の構造について説明します。
上の写真が実際のスプリングポイントです。
単線の線路で、列車交換する駅の前後で見かけます。
ポイントは常に本線側(左側通行)になっていて、ポイントマシンはありません。
先端(トング)レールは、スプリングの力で一方に押えてあります。
側線側から来た車両は(脱線することなく)スプリングを押し広げて本線に出て行きます。
この時ガッシャーンという音がします。
写真はKATOユニトラックの6番ポイントを使って、スプリングポイントを構成したものです。
ポイントは非選択式に設定を変えて、ポイントマシンは使わず、手動で左側通行にします。
これだけでOKです。
エンドレスの2ヶ所(ポイント4ヶ)にこれを設ければ、2列車の対向運転ができます。
DCCが俄然面白くなりますよ。
スプリングポイントの条件は、ポイントの各レールが、上図のように電気的に接続されていることです。
赤をプラスとすると、青はマイナスです。
ポイントの切替方向にかかわらず、常に本線/分岐共走行できるようになっています。
この上で、切替部のトングレールを押えるバネが適度なやわらかさを持っていれば、閉じている側から走行できることになります。
注目点は白丸印の部分で、ここが電気的に絶縁されています。
●KATOのユニトラック490Lポイント
非選択に設定。
手動切替部分を取り外して、別売のポイントマシンと交換するようになっています。
●KATOのユニトラック6番ポイント
非選択に設定。
ポイントマシン内蔵です。
●ROCOのWL15(4番?)ポイント
ポイントマシン別売です。
このポイントは道床内にオプションのコネクタがあり、
クロッシング(X部)の無電部分に通電する機能があります。
これを使うのは、スプリングポイントとして好ましくありません。
●篠原の#6ポイント
最もシンプルで原始的なポイントです。
ポイント内側のX字状になるレールが全て電気的につながっています。
動作は下図のようになります。
トングレールが本線のどちらかのレールに接触することで、分岐先へ通電します。
非分岐側の両レールは同じ極性になるので、車両は動かなくなります。
文字どおり、ポイントが車両発進のスイッチになっています。
スプリングポイントには使えません。
このポイントには利用上の問題点があります。
トングレールの接触部が汚れて通電不良になりやすいこと。
エンドレスの一部に使う場合、レールにギャップを切る必要があることです。
構造が簡単なこともあって、道床なしで市販されているポイントの多くはこのタイプです。
●KATOのユニトラック4番ポイント
クロッシングからトングレールまで金属製で導通していますが、分岐先(赤点)にはギャップが切ってあり、その先へは切替に従って通電をON/OFFするようになっています。
このため、エンドレスで使ってもギャップの必要がありません。
また、道床内に接点があり、ここ経由でレールに通電するため給電が確実です。
この2点で篠原型より改善されています。
両トングレールが同じ極性なので、スプリングポイントには使えません。
篠原のポイントが第一世代とすると、KATOのユニトラック4番ポイントは第二世代です。
スプリングポイントが可能になったユニトラック6番は第三世代。
ROCOやユニトラック490L/Rポイントは、最新の世代です。
スプリングポイントはポイントマシンが不用なので、マシン別売の製品はその分安価になります。
最新世代もDCCデコーダの取付についてはまだ配慮不足で、デコーダ付きのポイントマシンが別売されれば、それが第四世代のポイントになるでしょう。
模型のポイントは、単なる「線路素材」から、「線路システム」に変わってきているといえます。
リバースや渡り線でも、ギャップを気にすることなく自由につなげる線路。
さらに、車両の位置や信号を含めた総合的な情報をやりとりできる、「インテリジェント線路」がほしい。
というのが私の望みなのですが、
DCCをきっかけにして、やがてそのような製品が出てくるかもしれません。
2004.Apr.01 -C-