アナログサウンドを試す
DCCとは関係ありませんが、
ちょっと寄り道をして、
旧来のアナログサウンドを試してみます。
左が天賞堂のSL-1というサウンドシステムです。
KATOのパワーパックと比較しても、かなり大きな箱で、76,000円。
この中に、音源とパワーパックが入っています。
中を開けてみると、今時の電器製品と違って、かなりゆったりとした作り?です。
パネルの左側が、全体音量/排気音量/トーン/排気音のカットオフ調整ボリューム
中左下が、蒸気/汽笛音の切替、汽笛の低/中/高音切替
中右下が、蒸気/汽笛音のレバー
右側が、電源/前後進/スピードボリュームです。
今回は、PBL製のK-27ロコにスピーカを組み込みます。
これはSn3(1/64スケール 14.3mmゲージ)で、HOよりひとまわり大きなサイズです。
機関車側に組み込むのは、スピーカ/フィルタユニット/コンタクト接点/コンデンサー等です。
天賞堂から、車載ユニットのセットが販売されています。
左は、その「LMT KIT E-1」という製品の説明書です。
スピーカなしで2,000円。
このロコは最初からサウンドスピーカ用のフィルタユニットが、テンダー内部に組み込まれていました。
床下にはスピーカ音の穴が開いており、工作はこのようにテンダー内の床にスピーカを両面テープで接着し、配線するだけです。
第1動輪軸にコンタクト接点用のリングがあるので、これに接するようにコンタクト接点を取付けます。
コンタクト接点からコンデンサーを通してテンダー側につなぎます。
こうすると、動輪の回転に合わせて(1回転中に4回)、レール間がコンデンサーでショートされることになります。
SL-1からは、このコンデンサーだけを通過する高周波電流が出ていて、ちょうどレールの先に、動輪の回転に合わせたON/OFFスイッチがあるのと同じです。
このスイッチに同期させて、SL-1は排気音(エキゾースト音)を作ります。
つまりSL-1は、同期用の高周波/音信号/モーター用のDC電流の、3種類の電気をレールに流していることになります。
アナログサウンド動画
(参考)デジタルサウンド動画
感想
●雑音
デジタル(DCCサウンド)に比べて、アナログはまずそのノイズ(雑音)の大きさにびっくりします。
(最初は故障ではないかと思いました。)
ちょうどアナログレコードに似ています。
CDしか知らない人は、レコードのパチパチいう針音など信じられないでしょう。
普通のパワーパックで運転してみると、ガリガリパチパチ、スピーカから音が出ます。
モーター周囲のスパークが原因と思いますが、通常走行でもいかにノイズが多いか分かります。
しかし音源自身もシューというノイズですし、音量を加減すれば、雑音にめげず、なんとか実用のレベルにできます。
●音量
音源がICの中にあってアンプも極小のデジタルに比べて、アナログはたっぷりした音量を出すことができます。
しかも走行中に可変できます。
これは大きな魅力です。
●音種
SL-1で出せる音の種類は、シュッシュッという排気音、シューという手動の蒸気音と汽笛(低中高3種)のみです。
デジタルのように、ベル音、給炭音、ブレーキ音、コンプレッサー音といった多彩な音は出ません。
アメリカ型のSLでベル音がないというのは、とてもさびしいです。
一方レバーによる汽笛音は、その引き具合で音質が変わるので、なかなか魅力的です。
これだけでアナログを手放せない人がいるかもしれません。
●コントロール
SLのシュッシュッという排気音は、速度によって変化します。
高速走行時はほとんどバッバッバッというような音です。
SL-1は、これをカットオフボリュームでコントロールします。
つまり、速度を変化させる時は、両手が必要です!
楽器をひくのと同じと考えれば、この操作も面白くなくはありません。
DCCのデジタル音源は、当然この調整を自動的にやります。
●比較
車載ユニットはアナログの方が安いのですが、アナログは同時に1車両しか音を出せません。
デジタルとアナログとは発想が違うので、単純にどちらがいいとは言えないようです。
今でもアナログレコードが好きな人がいるように、アナログサウンドにはそれなりの魅力があります。
単なるノイズ音源でこれだけの雰囲気を出しているのは、むしろ立派と言えます。
一方のデジタル音源(SOUNDTRAXX)に対しては、音量を上げること、もっとシンプルな音にして値段を下げること、あるいは音のデータを交換できるようにすること等、改良すべきことがたくさんあると感じました。
2002.Dec.08 B